2013/12/24

あらしのよるに

(原作は読んだことないですが、タイトルだけ拝借します)

今日ロンドンは、朝から雨が降っておりました。
午後になったら止むだろうと高をくくっていましたが、
それどころか、こっちに来て一番というくらいの大嵐となっております。

部屋の窓を、雨が叩き、風が揺らし。
なんとなくこういう日には、
意味もなくドキドキしたりするものです。

買い物に行く予定を諦め、
一日中、部屋でだらだらと年明けに提出するエッセイの課題を進めておりました。



今日のBGMはスピッツ。
僕が音楽を聞くようになって、
最初に好きになったバンドです。

熱狂的なファンと言うわけでもありませんが、
定期的に聞きたくなる時があって、
今日もそんな日でした。

嵐のせいか、年の瀬のせいか、
今までなんとなく聞き流していた歌詞が、
心に染みたりなんかして。

そういえば、スピッツというバンド名には、
「小さい犬ほどキャンキャンとよく吠える」
といった意味も込められていたりするそうで。
先日の少し恥ずかしい話を思い起こさせます。



土曜日に、IDDP(英国開発学研究会)という、
イギリスで開発学を勉強する日本人の運営する団体の勉強会に行ってきました。
今回で3回目の参加でしたが、
様々な経歴、バックグラウンドを持つ方々とお話できるのは、
大変勉強になります。

その後、その団体の代表を務めた方が帰国するということで、
サプライズの送別会が行われました。
久しぶりのお酒の席で、まぁなかなかに酔っ払ったのを利用して、
人生の先輩方に対して、僕はこう吠えました。


「僕は将来、世界を変えたいんです」


「どんな?」と聞かれて、はっきりと答えられないのにもかかわらず。

はっきりとはわからないけど、
やっぱり今の世界をどうにかしたいと。
色々なところに見え隠れする、
この世界のおかしなところに目をつぶってはいたくないと。

この言葉に、名誉欲が入ってないかといえば、嘘になるでしょう。
生まれてきた以上、生きた証を、爪痕を、少しでも大きく残したいと、
そういった思いもあるのは確かです。

若さゆえに、言えることなのかもしれません。
まだ、開発の世界に片足すら突っ込んでいないような、
世間知らずだからこそ、言えることなのかもしれません。


僕だって、簡単にできるとは思っていません。
というか、多分ムリです。
ロンドンで開発学をかじってみて、
その問題の複雑さ、難解さを改めて思い知らされ、
壁の高さに絶望している最中なのですから、なおさらムリだと思ってます。

でも、それでも、
吠えることだけはやめてはいけない気がして。
自分に言い聞かせ続けることだけが、
諦めることを諦める唯一の手段な気がして。

人類は、大きな尺度で見れば、
奴隷制も、植民地主義も終わらせることが出来ました。
(その残骸はまだまだくすぶってはいますが)
だったら今のこの世界の色々ないざこざも、
なんとかすることができるのではないかと、
そう思ったりもしているのです。

もちろん、僕がそれに関われるかどうかは、
また別の話ですが。

ちっぽけな存在だって、吠える権利がある。
それが、もしかしたら将来の力になるかもしれない。
僕はまだ"旅の途中"で、
この先の道に何があるかなんて、
誰にもわからないのですから。
(そういえば、ブログのタイトルである、
"旅の途中"も、スピッツの歌から拝借しております。)


なんとなく、自己満と内省にまみれた文章を書いてみたりしてしまったのは、
やはり嵐のせいでしょうか、
それとも年の瀬のせいでしょうか。

気づけば、日を跨いで、
クリスマスイブになっております。
まだまだ雨風は止みそうにありません。
BBCは晴れマークも曇りマークも雨マークもまとめてつけているので、
この先の天気がどうなるのかわかりませんが、
次の夜までにはやんで、
サンタクロースが飛び回りやすくなってほしいものです。

今週末に、ドイツにちょこっとよって、
年越しはモロッコで過ごす予定です。

これが年内最後の更新になるでしょうか。
来年はもっと中身のある文章やら、
くだらないバカ話を書いていけたらと思います。

南スーダンが何やら良くないにぎわいを見せておりますが、
一人でも多くの人が、
落ち着いたクリスマスを、年末年始を過ごせることを
今はただ祈るばかりです。

Merry Christmas & Happy New Year


2013/12/20

Term1を振り返って 〜後半〜

はい、というわけで前回の続きを木曜日から
(本当は次の日に更新したかったのですが…)

◯木曜日
木曜日も授業がありません。
というわけで、週に授業があるのは火、水、金曜日だけです。週休4日です。
でも全然ゆとりじゃないですよ、
金曜日にTutorialが2つあるので、そのためにReadingを済ませなければなりません。
なので朝から(いや、実質寝過ごして昼くらいから…)、
深夜、時には明け方まで文献読んでます。

◯金曜日
金曜日はthe busiest dayです。
計12時間ある授業のうち6時間が金曜日に偏ってます。
普通こんなのありえないんですけどね笑
もう終わる頃にはヘトヘトです、HP0です。

この日は朝9時からSecurityのLectureが2時間あります。
日本語で訳すと安全保障です。
この授業は3年生(イギリスの大学は3年間で学位が取れるので最高学年)と
修士の学生がとる授業なので、当然ながらレベルが高かったです。
最初の2回でNational Security (国家安全保障)とHuman Security(人間の安全保障)という、
2つのメインの考え方を学び、その後は各諸問題が、
どのようにそれぞれの安全保障に影響するかといった進め方でした。
例えば、Food Seucrityの回では、飢餓がどうそれぞれのSecurityに影響するか。
Human Securityに関しては、単純に栄養失調などを引き起こすことで、
National Securityの観点からだと、飢餓が地域紛争の原因となることで…
と言った感じで、HIV/AIDSであったり、環境問題であったりを見ていきました。

Human Securityに当てはめて考えることは考えるのは比較的容易というか、
明らかである場合が多いのですが、
National Securityと結びつけるのはなかなか難しいことを実感しました。
例えば、地球温暖化がもしアメリカや中国のNational Securityを脅かすのであれば、
両国はもう少し真剣に解決を目指すのでしょうが、
当然ながら、現時点で地球温暖化がきっかけで、
アメリカや中国が戦争に巻き込まれるとは考えにくいですよね…

1時間の休憩を挟んで、
12時からはDevelopment Conditions and ExperienceのTutorialです。
この授業は開発学科1年生用の授業なので、概論的な話も多いです。
前の週のLectureで扱った内容とReadingの内容を絡めながら、
ペアワーク、ディスカッションやディベートなど様々な形で授業を進めるのが特徴的で、
内容も基礎的なので、一番発言しやすい時間でした。
周りも1年生と言っても、
「ギャップイヤーでタンザニアで半年ボランティアしてきましたー」
なんて人がさらっといる大学なので、議論も結構深まります。

次は1時間の休憩、キャンパス移動を含めて、
2時からSecurityのTutorialです。
午前中にやった授業の内容を含めて議論ですが、
間に別の授業が挟まってるので頭が混乱します笑
Tutorialは修士の人とは分けられていますが、
3年生だけといっても議論のレベルは高く、
正直ついていけなかった部分が多いです…
この授業は1学期のみの授業なので、もう挽回できないのが辛いです。
テーマは面白かったんですが…

この日の最後は3時からのDevelopmental Conditions and ExperienceのLectureです。
この頃にはかなりエネルギーが切れています。
前の授業と連続なのでいつも少し入るのが遅れてしまうのですが、
(SOASは授業間の休み時間がありません。すべて◯時ちょうどから◯時までです。)
いつも死んだような顔をしながら教室に入ってくると言われます笑
1学期は、開発学の今までの潮流の紹介がメインでした。
ColonialismやModernisationからはじまり、
Participatory Development (参加型開発) 、Post-Development (ポスト開発) まで
2学期は、より各論的な内容になるみたいです。
個人的には終盤に扱った、Post-Developmentの話がなかなかおもしろかったです。
今までの「開発」をすべて否定して、
先進国、途上国と言った概念も否定するradicalな考え方なんですが、
今までの常識を疑って、経済発展が必ずしもゴールではなく、
何が人にとって一番大切で、国家はどういう状態が理想なのかといった、
哲学的な問いにまで発展しうるあたりが、知的好奇心をくすぐられました。
もちろん批判できる部分もまだ多いのですが…

そんなわけで2時間のLectureを終えると、
ようやくTGIFです。花金です。
友達と飲み行ったり、疲れ果てて眠ったり、
エッセイにとりかかったり…??(割りと学期終盤はガチです笑)

◯土曜日、日曜日
週末の過ごし方はまぁ色々でしたね、観光に行ったり、一日中寝てたりです。
エッセイがあったり、プレゼンがあったりする場合はそれやったりもしましたが、
基本的には充電してました。


1週間だいたいこんな感じでしたね。
基本的に平日はReadingに追われてました。
大体一つの授業に対して3本論文や本の章が課せられます。
ただ読んでも難しかったりするんで、
要約と言うか簡単なまとめをパソコンで作りながらやるんで、
めっちゃ時間かかります…
まぁ全員が読んでなかったりもするんですがね、実は。
1、2本読んで、あとはconclusionだけ読んで、なんて人も結構います。
その辺は意外と緩いと思います。
自分もプレゼンで追われてる時などは、AbstructとConclusionだけしっかり読んで、
後はScanningするだけ、みたいなときもたまにありました。
2学期は無くしたいと思ってますが…

なんだかくそまじめな文章ですが、
まぁ実際くそまじめに淡々と日々を過ごしてしまってる感じはします。
まぁfacebookやらtwitterやらネットの時間を減らせば、
もっと色々遊んだり、充実した活動ができるんでしょうが笑
2学期の課題は山積みですが、さっそく堕落した冬休みを送ってるので、
まずはここから改善しなくてはですね…

2学期はSecurityの代わりに、Issues in Development Practiceという、
開発の実践に関する授業が入る以外は、同じです。
はじめは週に4種類の授業しか選べないのが残念でしたが、
1つ1つじっくりやれるので、こっちのほうがいいですね。
Issues in Development PracticeはLecureが木曜日、Tutorialが金曜日ですので、
多少、曜日のバランスも改善されます。
SOASは3学期(4月下旬〜)が試験学期で授業がないので、
実質授業があるのはあと3ヶ月弱、そう考えるとだいぶ短いので、
色々吸収して帰ってこれればと思います。

ロンドン・アイから見たロンドンの夜景です

2013/12/18

Term1を振り返って 〜前半〜

約2ヶ月ぶりの投稿となってしまいました。
やはり学期中は何かと忙しく、週末も出かけたり寝たりでまとまった時間が取れず、
もともと書くのが遅いので放置状態に…

晴れて先週で1学期が終わり、冬休みになりました。
(といっても年明けにだすエッセイが2つあるので遊んでばかりもいられませんが…)

今回は1学期の間、1週間どういう生活をこっちでしていたのかを振り替えりながら、
授業の感想を書いていこうと思います。

◯月曜日
この日は授業がありません。なので、土から月まで3連休です。
土日の過ごし方次第ですが、だいたい月曜からその週のReadingをスタートさせます。
あとは、休日だと混んでたり、早くお店が閉まったりするので、
この日に買い物をしたりすることもあります。

◯火曜日
この日は午後3時から5時まで、Culture in AfricaのLecture(講義形式の授業)です。
1週間の始まりが火曜日の午後からなので、なかなかスイッチが入りません笑
内容は、前半は総論的な部分が多かったです。
Cultureとは何か、Identityとは何か、というところから始まって、
各論はSwahili (タンザニアやケニアなどを中心とした文化)と、
Yoruba (ナイジェリア中心に広がる文化)だけやりました。
(先生はナイジェリアの方で、Yorubaを専門としていますが、
2学期からは、各文化の専門の人がオムニバス形式で担当します。)
文化の授業だけあって、映像を見ることも多いです。
グループプレゼンも2回あって、結構自主的に考える時間の多い授業だと思います。
(全部の授業に言えることですが…)
面白かった、というか、少しイメージと違ったのが、
アフリカの文化がdiaspora(移民…という訳でいいのでしょうか?)に与えている影響を、
比較的大きく扱っていることです。
奴隷貿易や、その後の移住、移民の結果、
アフリカ系の人々の"血"は世界各地、
特にアメリカ大陸やヨーロッパを中心に広がっていて、
そうした土地の文化や、人々のアイデンティティ形成に、
どのようにアフリカの文化が影響しているか、という視点は、
日本で、日本人の両親から生まれ、日本で育ってきた僕からすると、
今まであまり考えたことのないことでした。

授業だけでなく、ロンドンで、しかも留学生の多いSOASで生活していると、
様々なバックグラウンドを持つ人がたくさんいて、
国籍も両親の出身国も生まれ育った土地も全部違うなんていう人が珍しくないです。
そういう人のアイデンティティはどのように形成されていくのか、
というのはなかなか興味深いです。
(割りとデリケートなこともあると思うので、気軽に聞けないのですが…)

そういえば、火曜日は学期途中からLanguage Exchange (言語を勉強したい人が、お互い教えられる言語を教えあう制度…というか時間?) で、
ソマリ人からソマリ語を教わる代わりに、日本語を教えています。
パートナーの彼も、ソマリ人ですが、オランダで生まれ育ち、
数年前からイギリスに移住、ソマリアには1度しか行ったことがないそうです。
まだ始めたばかりなので、全然ソマリ語は覚えてませんし、発音も難しいです笑
毎回むちゃくちゃ直されてます^^;
あと、いつのまにか彼の友達のソマリ人の女の子も一緒になって教えてくれています。
その他に、彼の友達も何人かいることが多いです。だいたい女の子です笑
彼は全然チャラい感じじゃないけど、モテるんですかね…?笑
やっぱりコミュ力が大事なのかな…と思ったりしてます。
あとは身長か…これはどうしようもないですが…うーん…(´・ω・`)

◯水曜日
話を戻しますね(^_^;)
水曜日は、1週間のうち2番めに忙しい日です。
まず10時から、Culture in AfricaのTutorial (少人数に分かれてのゼミ形式の授業) があります。
授業の復習と、Readingから学んだことなんかをシェアします。
比較的ゆるーい感じなので、割と発言しやすくて助かってます笑
そういえば、この授業はアフリカ学科の1年生向けの授業なのですが、
なぜか西洋系の女の子が多い学科です。というか受講者の7割くらいがそうです。
理由は……謎です笑
まぁ華やかでいいと思います、はい。

さて、1時間のTutorialが終わった後は、
そのまま2時間のLecture、今度はPolitics of Developmentです。
1学期と2学期で教授が変わる授業で、
1学期はアフリカの政治と開発の関係を扱い、
2学期はアジア(とラテンアメリカ)を見ることで、その比較をしていく授業です。
といっても各論をやるわけではなく、
援助と汚職の問題だったり、民主化と経済発展の関係だったり、
そういったテーマ別の切り口が多かったです。
とりあえずかなり自分の勉強したいこととドンピシャで、楽しい授業です。

SOASはいわゆる"左"の視点が強い大学で、
Marx Society (Soceityは日本で言うサークル) なんかあったりするんですが、
開発学や政治学の授業では特にその傾向が結構出てる気がします。
(ちなみに、日本で"左"だの"右"だの言うと、過激な思想を持ってそうだと思われがちですが、
ヨーロッパではそういうわけではないみたいです。)
この授業も結構その傾向があって、世銀・IMFの批判、Neoliberalism(簡単に言うと自由市場経済主義)批判なども扱いました。
かといって、決して偏った教え方をしているわけではなく、
きちんと両方からの視点が踏まえられています。
ちなみにNeoliberalismや、Structural Adjustment(構造調整プログラム。1980年代から世銀・IMFが進めた途上国の市場の自由化を進めようとした政策。)の批判は、
だいたいどの授業でも1回はあるそうで、
もうこれはさんざんやったからいい!って文句を言っている生徒もいました笑

2時間の講義が終わると、お昼を食べて、Language Exchangeの時間です。
この日はカナダ人からフランス語を教わっています。
大学院でトルコ研究を専攻していて、日本語はほとんど独学ですが、上手いです。漢字も書けます。
大学院に来る前は、カナダの政府で働いていたそうで、かなりエリートです。
SOASは、アジア、中東、アフリカ研究の大学なので、
ヨーロッパ系の言語の授業はないのですが、
フランス語を学ぶ機会がこうして得られて良かったです。

その後は、所属しているSocietyのミーティングです。
僕は、日本でも所属していたAIESECという学生団体にこちらでも入っています。
お隣のUCL(University College London)と合同でやっているので、
ミーティングもそこでやります。
正直勉強が忙しくてなかなかコミットできていませんが、
Pub Crawlなどの楽しいイベントにだけ顔を出しています笑

この日は17時からPolitics of DevelopmentのTutorialが最後にあります。
15人ぐらいいて、毎回2人ずつ発表、その後議論といった流れです。
議論は毎回先生と一部の生徒で盛り上がってしまう授業で、
結構話がそれるので、全く発言できませんでした。
やっぱりまだまだ英語での議論は難しく、誰かの意見を理解し、
自分の考えをまとめているうちに、議論が次に進んでしまっています。
この授業はCulture in Africaと違い、2、3年生が中心なのもあって、
英語力以前の知識量の差を感じることも多いです。
2学期は少し改善しなくてはいけません…

なんだかだいぶ長くなってしまったので、
週の後半は次の記事に書きたいと思います。
では、またノシ
街はすっかりクリスマスです。