2014/02/03

好奇心に忠実に、フットワークを軽く

新年あけましておめでとうございます。





1ヶ月遅いですって?
大丈夫です、ロンドンのチャイナタウンでは、
しっかり(旧)正月を祝ってますから。


というわけで、
早速1ヶ月放置してしまいました。
年末年始をモロッコで過ごし、
その後課題のエッセイやらプレゼンやらに追われ、
ようやく一息ついたかな?と言ったところです。

先々週の火曜日に、
初めてLSE (London School of Economics and Political Science) へ行ってきました。
社会科学の分野では世界トップクラスの名門校です。
こんなおしゃれなとこ、SOASにはない…



訪れた理由は、Public Lecture、要するに講演会です。
イギリスの大学は、日本の大学よりも、
こうした一般向けの公開講義に力を入れている印象が強く、
SOASでもLSEでも毎日いくつものPublic Lectureが開かれています。
(ほとんど無料の場合が多い)

特に先週LSEで行われた講義の話者が豪華だったので、
SOASで開かれているものには行ったことはないのですが、
LSEの方で先にPublic Lectureデビュー?してきました。

火曜日に立て続けに2つの講演会に行ってきたのですが、
一人目はHelen Clark氏、現在のUNDP総裁です。





実は、お目にかかるのは昨年横浜で開かれたTICAD Vのシンポジウム以来2回目。
こんな方に1年のうちに2回も直接お話しを聞く機会ができるというのは、
本当に恵まれていると思います。

話の内容は、ポストMDG、SDG(Sustainable Development Goals)の話が中心でした。
MDGで定められたゴールは、来年、2015年で終わるため、
今それに代わる国際社会の目標が議論されていますが、
その中心であるUNDPがどういった部分を考慮していくか、といった話でした。

正直ポストMDGの動きをあまり追えていなかった自分としては、
「へぇー」となる部分が多かったのですが、
特に、「次の目標は、先進国、途上国(の人々)両方が、
取り組まなくてはいけないものになる(べき)」
といったことを強調されていたのが印象的でした。
MDGの目標の多くは、途上国に住む人々に向けたものが多かったのですが、
少しずつ経済成長、貧困削減が進む国が増えてきたことで、
環境問題などのように、グローバルな規模で考え、
行動していかなくてはいけない問題に注力していかなくてはいけないという話でした。
もちろん、そういった流れに取り残された人々のことも、
忘れてはいけないともおっしゃっていました。
わずか1時間の講義で、質疑応答が短いのが残念でしたが、
わざわざ足を運んだ甲斐は大いにあったと思います。

そして、そのわずか30分後に2つめの講義がありました。
話者はGwen Hines氏、DFID(英国国際開発省、日本のJICAのようなところだと解釈しています。)で
長らく活躍され、現在世界銀行のイギリス理事(Exective Directer)を務めている方です。





タイトルは"Bridging the Gap: The Role of NGOs in International Development"
でしたが、どちらかというとDFIDのやってることの説明が多かったような印象でした。
その中で、DFID(先進国政府)と途上国をつなぐ1つの重要なセクターとして、
NGOが役割を担う、といった話でした。
印象的だったのはむしろ、イギリスが「ODAのGNI比0.7%」を達成するといった話です。
この対GNI比0.7%という数字は、国連が定めているODAの目標数値ですが、
2012年に達成しているDAC諸国は、
ルクセンブルグ、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、オランダの5カ国のみでした。
イギリスは0.56%で、オランダについで6番目に高い数字。
2002年に0.31%だったところから、10年で0.2%以上あげており、
総額でもアメリカに次いで2番目に位置しています。
(ソースは→ http://www.oecd.org/dac/stats/aidtopoorcountriesslipsfurtherasgovernmentstightenbudgets.htm)

一方で日本はというと、
同じ資料によると2012年のGNI比はわずか0.17%、アメリカよりも低く、
そこに挙げられたDACの24カ国の中で、20番目の数字です。
(ちなみにその下の4カ国はスペイン、韓国、イタリア、ギリシャでした。)
総額の方では、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスに次ぐ5番目。
かつて世界一を誇ったことを考えると、
やはり日本はもう少し国際社会に対して責任を果たしていくべきでは?
と思わずにはいられません。
もちろん震災復興を優先すべきだという考えもあるかと思いますが、
2002年からGNI比がほとんど変わっていないところを見ると、
やはり考える余地はあると思います。

正直、この日は大学の講義から続けて3連続の講義だったので、
集中力が切れてしまい、同時にリスニング力がガタ落ちしてしまったので、
これは相変わらず個人的な課題だと思いました。

実はその次の日の水曜日には、
もう一人、ビッグな方がLSEで講演を開催されました。
Amartya Sen 氏、開発学の世界的権威と言っても過言でない方です。
(実は、著書や論文を通して読んだことはないのですが…)
授業で課されるリーディングでも、たびたび参照・引用されています。

オンラインでの抽選で4000人を超える応募があり、
倍率は10倍近かったそうで、
当然のように僕もチケットは取れませんでした…
しかし、そこはさすがにネット社会。
当日はLive Stream中継があり、
次の日には録音がホームページ上で聞けるようになっていました。
http://www.lse.ac.uk/newsAndMedia/videoAndAudio/channels/publicLecturesAndEvents/player.aspx?id=2205
僕も録音を後から聞きました。
個人的には、どうしてもこういう録音を聞くときには集中力が続かないので、
やっぱりオフラインがいいなあと思いましたが、
日本に帰国してからも、こういった形で講義が聞けるというのは、
やはり技術の進歩に感謝ですね。
(ちなみに、Helen Clark氏の方の講演はこちら→
http://www.lse.ac.uk/newsAndMedia/videoAndAudio/channels/publicLecturesAndEvents/player.aspx?id=2192)

1学期は勉強に精一杯でしたが、
2学期は少しでも時間を見つけて、
これからもこういった講演に足を運んでいきたいなぁと思っています。

というわけで、今日のタイトル
「好奇心に忠実に、フットワークを軽く」
は今年の目標です。(今更笑)

約10ヶ月の留学生活も気づけば折り返し地点を過ぎたものの、
相変わらず英語は上達している気がしないし、
エッセイの点数は思いの外悪かったし、
自分の実力不足を日々痛感していて、
「自分もっと勉強しなきゃいけないなぁ」
と思うことばかりです。

講義を聞き取るのが大変だったり、
リーディングに苦しんだりしているのは、
まぁ英語力の問題としてあって、
開発学のベースとなる経済、政治、地理、歴史、哲学等々、
なかなかに自分の勉強不足を意識させられることが多いです。
「教養がない」と言ってしまうこと自体が、
教養がなさそうに聞こえますが、
つまりはそういうことなんだと思います。

一方で、1学期の間、平日はほぼ勉強だけをして過ごしてみて、
もともと自分の興味のある分野ということもあるのでしょうが、
自分の世界が広がっていく、勉強の面白さみたいなものを
再認識できている感じもします。

というわけで、今年の目標は、
「好奇心に忠実に、フットワークを軽く」
と言った感じにしようと思いました。
「勉強しなきゃ」といった義務感からの行動は絶対に続かないなぁと思ったので、
まずは自分の興味のあるところ、
「好奇心」の湧いたところを、
どんどん追っかけていこうと思っています。

というわけで、これを今年の大晦日まで覚えていられるように、
頑張りたいと思います笑



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